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世界大学ランキングとフランス

 8月初め、上海交通大学高等教育研究所が2008年版の「世界研究大学ランキング」を発表しました(下記リンク(英語))。
   http://www.arwu.org/rank2008/ARWU2008_A(EN).htm

 これは2003年以来毎年発表されているもので、代表的な世界大学ランキングの1つであって、大学の(教育面ではなく)研究面を評価している点に特徴があるとされています。研究面の国際的な指標(英文論文被引用数、ノーベル賞等受賞など)は人文・社会系にはなじみにくいので、このランキングは実際には自然科学系を主たる対象としているものといえるでしょう。
 このランキングについて、日本では報道はされているとは思いますが、知名度はそれほど高いとは言えないと思います。他方、フランスではこのランキングについて相当の関心を持って報道されており、私がこれを知ったのも数年前に日本で接したフランスの報道によってでした(ウィキペディアでもフランス語版にはこの項目があるが、日本語版にはない)。フランスで関心が高いのは、フランスの大学が上位を独占した…からではなく、全く逆にフランス勢の成績が惨憺たるものだったからです。今年のランキングでは前年よりもさらに状況は悪化し、100位までに入ったフランスの大学は3校(前年は4校)、500位までに入った大学は23校であり、国別順位では7位(前年は6位)となっています。ただ、日本は100位以内に4校、500位以内に31校、国別順位では4位ですので、人口・経済規模からすればフランスの大学の評価は悪くはないようにも思われます。ただ、問題は上位にフランスの大学の名が見えないことで、フランスの大学の最高ランクは42位にすぎません(日本の最高位は19位で、米英以外の大学では最上位)。

 
Kyoto_University[1].jpg このような評価に対する反応ですが、ランキングの基準についての批判(英語支配、研究面偏重…)はお約束ですが、作成者側は基準をきちんと明示しており、検証可能性を確保した形ですでに数年にわたって継続している以上、それはそれとして受け入れざるを得ないでしょう。また、今後こうした形で継続し、国際的な知名度、ブランド力を獲得していけば、各大学としても批判・反発・黙殺ばかりしてはいられないと思われます(なお、日本の大学の対応として、下記記事を参照(日本語)。さすが↑の大学は悠然としています(写真はウィキペディアさんからお借りしています))。
 http://www.asahi.com/edu/university/zennyu/TKY200803310215.html
 

 ということで、ランキングの存在を前提にした対応が必要という考えが出てくることも当然であると思われます。ペクレス(Valérie Pecresse)高等教育・研究担当大臣はフィガロ紙(8月6日付電子版)のインタビューで「ランキングには欠陥もある。しかしそれは存在するのです」と述べ、ランキングを意識することは必要だとし、2012年までには10の大学がトップ100入りすることを目指したいとしています。実際、フランスでは他国の例に漏れず、研究拠点の集約により大学の競争力強化を図る政策が展開されており、インタビューではまだこの効果はランキング上現れていないが、2010年には効果が見えるだろうとされています。昨年成立した大学改革法については下記資料参照(日本語)。
  http://www.jsps.go.jp/j-news/data/kaigai04/11.pdf

 以上2つの反応は日本的な感覚からも分かりやすいのですが、フランスらしいのは第3の反応です。ペクレス大臣は、先のインタビューにおいて、「上海のランキングの主たる欠陥は、教育の質――フランスはこの点では優れている――ではなく、主に研究に軸足を置いていることです。この点において、我々がこの〔教育の〕基準を強調した大学のヨーロッパ的なランキングについて作業をする理由があります」と述べて、上海のランキングに対抗して独自ランキングを作成する意向を明らかにしたことです。2008年下半期はフランスはEU議長を担当しており、11月の会合においてこの問題をEUとして取り上げるとのことです。フランスは数年前にグーグルが世界中の書籍を電子化してネット公開するプロジェクトに対抗して、ヨーロッパ・デジタル図書館を立ち上げるという構想を推進したことを思い出させられます(なお、この構想は具体化され、ユーロピアーナ(Europeana)という名称で本年11月からサービスを開始することになっている(http://www.europeana.eu/))。

 なお、代表的な世界大学ランキング及びこの種のランキングそのものについて、下記論文が興味深い分析をしています(日本語)。      
  http://www.shidaikyo.or.jp/riihe/result/pdf/sousyo2.pdf

 (後日補足)ちなみに、フランスの大学は、大学入学資格試験(バカロレア)に合格しさえすれば好きな大学に入学(登録)できるというのが原則なので、大学ごとの入試というものは存在しません。したがって、大学入試ランキングというものも存在しません。ただ、やはり有力教授はパリに移籍するなど、事実上のプレステージの違いはないわけではないようです。
 他方、いわゆるグランドゼコールについては、各校でセレクションを行いますし、マスコミ等によるランキングもあるようです。ただ、難易度(だけ)のランクというよりは、卒業者の平均収入などでのランキングが中心であるようです。この辺りはおいおい調べてみたいと思います。

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コメント 1

挺

In all, I do not not think the report reflects the real rank of world's universities!
by (2008-11-02 23:21) 

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