So-net無料ブログ作成

50歳を迎えた第五共和制憲法

 2008年はフランスの現行憲法である第五共和制憲法にとって節目となる年になりました。まず、1958年10月4日に審書された同憲法が50周年を迎えました。1789年のフランス革命以来、多くの憲法が制定されては程なくして廃棄され、安定性を欠いていたところ、第五共和制憲法は70年近く存続した第三共和制憲法に続いて、フランス近代史上2番目の憲法となっています。他方、本ブログでも報告したように、本年7月には第五共和制憲法の大規模な改正が実現しました(この経緯については、本ブログの過去記事のほか、来週発売予定の雑誌「法学教室」11月号をご覧下さい)。
 メディアでも、50周年についてはしばしば取り上げられており、個人的にも、第五共和制の歴史を振り返るドキュメンタリーを2編ほど見る機会がありました。いずれも、歴史的な資料映像と歴史的な承認あるいは現代の有識者のインタビューを交えて構成したこれぞ古典的ドキュメンタリーという作品でありました。
 ちなみに、このような旧国営放送時代から蓄積された歴史的資料映像は、フランスではINAという映像アーカイブ機関で一元的に管理されており、数年前から多数の貴重な映像がインターネット上で無料で見ることができるようになりました(参照、E・オーグ(西兼志(訳))『INA』(文庫クセジュ))。例えば、以下の映像など。
  http://mai68.ina.fr/index.php?vue=notice&id_notice=I08217985

 他方、9月末から10月初めにかけて、第五共和制50周年記念のシンポジウムがいくつか開催されたので、3つほど覗いてみました。
 1つは、上院で3日間に渡り開催された「第五共和制を理解する」というシンポジウムですが、これは憲法というよりは、政治学よりの内容でした。私が聞きに行ったセッションでは、第五共和政下における様々な政治勢力(ゴーリスト、社会党、共産党、極右、リベラル)についてそれぞれ専門の論者が話をするというものでした。このシンポジウムの映像はネット上でも公開されています。
  http://www.senat.fr/evenement/colloque/cinquieme_republique/participants.html
 DSCN2309.JPG

 全く同じ日程でソルボンヌやパンテオン辺りで開かれていたのは、フランス憲法会議(Congres francais de droit constitutionnel)というもので、これは学会の1つであって定期的に開催されているものです。ちなみに、フランスには日本公法学会のような同業者のほとんどすべてが集う場はないのだそうです。確かに、今まで覗いた色々なシンポジウムも、学会の定期的な集会というよりは、上下両院や憲法院といった機関や各地の大学が主催する単発のシンポジウムといった色彩のものが多いようです。
 さて、この学会も今回は第五共和制50周年ということで特別企画があり、初日には、最近未婚でのご懐妊ということで話題となっているラシダ・ダチ司法大臣、ジャン=ルイ・ドゥブレ憲法院長、ジャン=マルク・ソヴェ・コンセイユデタ副院長等々のお歴々がソルボンヌの荘厳な大教室で次々と話をしていました(写真。ただし、ダチ法相は早々に退席し写っていません)。面白いのは、今列挙した順の席次となっているようで、憲法院長よりも司法大臣、破毀院院長よりもコンセイユ・デタ副院長の方が上であることです。
 2,3日目は、日本で言えば主として院生・助教クラスの若手研究者が多くの分科会に分かれて次々に報告するというものでした。優秀な報告には賞(有名な憲法学者の名をとってルイ・ファヴォルー賞と名づけられている)が与えられるのですが、なかなか面白い制度だと思いました。


 10月に入り、憲法学者サークル(Cercle des Constitutionnalistes)のシンポジウムが開かれました。
 http://www.cercledesconstitutionnalistes.net/
 初日は、やはりソルボンヌで、「外国から見た第五共和制」ということで、イギリスとドイツ、アメリカから招かれた研究者がそれぞれ話をする等の内容で、イギリス人教授は、ブレア時代以来のイギリス憲法改革とフランスの近年の憲法改正・憲法改革との類似性を指摘し、ドイツ人教授は、「合理化された議院内閣制」の独仏比較を論じていました。アメリカ人教授は、憲法裁判をテーマとする報告でした。2日目は、国民議会の別館で開催され、2008年改正後の展望がテーマでしたが、憲法学者に加え、今年の憲法改正に当たり組織された有識者委員会の長を務めたバラデュール元首相、同じく同委員会で重要な役割を果たしたジャック・ラング下院議員、法案審議に当たって国会対策担当大臣として調整に当たったロジェ・カルーシ(カルーチ)氏が報告を行いました。
 先日のフランス憲法会議でのダチ法相や、ドゥブレ憲法院長とあわせ、憲法改正に当たって重要な役割を果たした人物の多くを見ることができたということになります。

  


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。

×

この広告は1年以上新しい記事の更新がないブログに表示されております。